山椒魚/井伏鱒二
先日紹介した志賀直哉をコミカルと表現するのなら
こちらは哀しいトーンですね。
あからさまに陰惨なシーンはないのですが、空気がとてもうら寂しい。
山椒魚も、材料によってはいくらでもコミカルに
明るくなりそうなもんですが、井伏は徹底して哀しく書いています。
個人的には明るいメランコリックの頂点は太宰治なんですが
彼が井伏に師事したというのも少し面白いですね。
ちなみに名著「日本語の作文技術」にて、”山椒魚は悲しんだ”
の部分からすぐに改行しているのを、本では言及していて、
なるほどと思いました。
そういうどうでもいいところを「行間を読む」ということで
それとなく許されるのが小説のいいところ。違うか。
- 作者: 井伏鱒二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1948/01/15
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 88回
- この商品を含むブログ (53件) を見る